DIYをしていると棚をつくる方も多いのではないかと思うんですが、引き出しでスライドレールを使っていますか?
DIYをしていない方だと、自分でスライドレールを取り付ける機会なんてありませんよね。
スライドレールを取り付けられるようになれば、棚つくりのクオリティーが上がり、機能性もグッと良くなります。
今回は実家からの依頼品で、棚を製作しました。
その完成品がこちら。
使い道としては、以下のとおり。
- モデムやルーターを収納
- 雑貨などの小物類を収納
- 雑誌やバインダーなどの収納
大きい棚の製作で、スライドレールも大量に使うことになります。
それでは、棚が完成するまでの流れをお話していきたいと思います。
- 棚の作り方
- スライドレールの取付方法
- 引き出しの作り方
今回DIYでつくる棚のコンセプト
依頼された内容をまとめると、こんな感じ。
- たくさんの引き出しがほしい。
- モデムとルーターの収納スペースに扉をつけて、熱がこもらないように対策してほしい。
- 引き出しや扉は、取手をつけず使えるようにしてほしい。
- 収納スペースに、ちょうど収まるサイズ。
このように収納力があり、通信機材から発する熱を逃がす工夫が必要です。
ほかにも今回製作する棚は、造り付けスペースの中にぴったり収めるため、取手がはみ出てると怪我をするリスクがあるので取手なしで考えます。
「引き出しを使った収納力のある棚」を設計する
さっそく収納スペースの寸法を測り、設計図を作成。
- 左側
上段 : 書類を置くスペース
下段 : 扉をつけてモデムとルーターを収納するスペース - 真ん中
上段 : 本を置くスペース
下段 : 雑貨類を収納する引き出し(1段) - 右側
雑貨類を収納する引き出し(6段)
取手や熱対策については、引き出しの前板に指を入れる穴あけ、扉に穴をあけて放熱できるようにします。
今回みたいな設計図は手書きでは大変なので、設計ソフトを使うと簡単・正確にできます。
私がおすすめしているのが、『caDIY3D』というDIY向けの設計ソフト。
3Dで設計することができて、操作も簡単。
木取り図も同時にできるため、そのまま印刷して活用もできます。
詳しくご紹介した記事もあるので、よければ参考にしてみてください。
まずは棚から製作開始
各サイズにカットする
設計通りの寸法で木材に罫書きした後、カットしていきます。
「天板・底板・側板・中立・棚板・扉」は、同じ木材を使用するのでこの段階でまとめてカットします。
溝を掘って背板をはめ込むのと、引き出しと扉をインセットで取り付けるので、棚板の長さを計算しておかないといけません。
上の図のように、「引き出しの前板と扉の厚み + 背板の厚み + 背板の取付位置」を差し引いた幅が、棚板になります。
今回を例にすると、天板と底板が390mmの奥行に対して、棚板は353mmの奥行にします。
次に背板となるシナベニヤを、カットしていきます。
溝を5mmの深さで掘るので、棚の内寸より5mm~8mmほど大きくカットします。
これで、棚に使う板のカットは完了です。
背板を取り付ける溝を掘る
手間はかかりますが、はめ込む方が強度も上がるので背板は溝を掘ってはめ込む方法で組み立てます。
今回は分かりやすいように、溝を掘る位置を罫書き。
ストレートビット(6mm)をセットしたトリマーを使って、端から5mmの位置に溝を掘っていきます。
ここで注意点がひとつ。
側板と中立は画像のように端から端まで溝を掘っていきますが、天板と底板は端から端まで掘りません。
端から端まで溝を掘ると、完成した際に溝が見えてしまいます。
こんなふうに…↓
そうです、ミスしました…
天板の片方だけ、端から溝を掘ってしまいました…
設置後、ここは見えない箇所なので今回は妥協しました。
サンダーとトリマーを使って面取り&研磨
カットと溝掘りが済んだので、仕上げにトリマーのボーズ面ビットで角の面を取って
サンダーで表面を研磨します。
サンダーは、400番までかけました。
棚側のスライドレール取り付け
組み立てる前に、棚側のスライドレールを先に取り付けていきます。
組み上げてから取り付けるのは難しいので、この段階で取り付けた方が簡単で早いです。
使ったスライドレールは、スガツネ工業の「LANP 3618」シリーズ。
引き出しの奥行を、330mmで作るので300mmのレールにしました。
3618シリーズはレールを固定するビスが付属されていないので、別途購入が必要です。
レールの取付位置に印をつけて、棚側と引き出し側のレールを分解して棚側のレールを固定します。
レールの分解は最大まで引き出し、グレーのツメ部分を押さえた状態で引き抜きます。
レールの固定は、下穴をあけてビスを使います。
ここで便利なのが、スターエムの「センター一発」。
普通にレールの穴にめがけて下穴を開ければ、中心からずれてしまいビスを打ち込んだ時に、レールがずれてしまいます。
しかし「センター一発」を使うことで、穴の中心に下穴を開けることができ、レールがずれることがありません。
さらにすごいのが、錐のついたソケットをビットに取り付けることができるので、ソケットを取り外してそのままビスを打つことができます。
この繰り返しで、全てのレールを取り付けていきます。
棚の組み立て
いよいよ、大枠の組み立てです。
まずは、底板と側板・中立を固定していきます。
側板を底板の端から内側に入れて、固定します。
そうすることで、木材の変形対策やクオリティも上がるのでおすすめです。
詳しくは、別の記事で解説しているのでそちらをチェックしてください。
今回は5mmほど内側に入れるので、その位置に墨線をひいておきました。
固定していきますが、ここでも便利アイテムの出現。
「下穴錐」は、もちろん下穴を開ける錐。
「皿取錐」は、下穴と同時にビスの頭をおさめられるように皿を取ることができます。
さらに深く穴あけしたら、埋木用の穴をあけることもできる優れもの。
詳しくは、こちらの記事でどうぞ。
流れとしては、下穴錐で下穴をあけて皿取錐で皿を取った後、ビスを打ちます。
ビスの頭が、きれいにおさまってますね。
中立の板も同様に、作業していきます。
背板の取り付け
掘った溝に背板をはめ込み、天板を取り付けます。
天板も同じように側板を端から5mm入れ、同じ手順で固定していきます。
これで、棚本体は完成です。
引き出しを作る
引き出しを作りますが、注意点が一つ。
スライドレールの厚みが12.7mmなので13mmとして考え、左右のレールで26mm分を差し引いた寸法で引き出しの外寸をつくります。
棚の内寸400mmとしたら…
「棚の内寸」400mm − 「レール厚み分」26mm = 「引き出しの横幅」374mm
このように、引き出しのサイズには注意が必要です。
引き出しの枠と底板のカット
引き出しは開けた時に香りがするように、ヒノキにしました。
まずはスライドレールの幅を差し引いた寸法で、引き出しの枠となる部分をつくります。
底板は、シナベニヤを使います。
引き出しは溝を掘らず、底からビスで固定することにしたので、引き出しの外寸のサイズに合わせてカットします。
引き出しの組み立て
引き出しを組み立てますが、ここで自作の便利治具。
引き出しはしっかり直角に作らないと、スライドレールの動きや棚の収まりに影響するので、慎重に作らないといけません。
そこで簡単に直角で固定できるようにしたのが、上の画像の治具です。
この治具を使って、組み立てていきます。
治具に引き出しの枠をセット、前板と側板の直角と底にしっかりついているか確認したら、その状態で板を固定します。
これで直角を維持した状態で、簡単に下穴とビスを打つことができます。
左右の枠を固定したら、反対にして後板を固定。
他の引き出しも、繰り返し固定していきます。
引き出しの枠が出来たら、直角になっているか確認しましょう。
箱状のものを作る時は、直角になっているかが重要になってきます。
対角線上に定規を置き、長さを測ります。
両方「433mm」ですね。
こうなっていれば、しっかり90度になっています。
引き出しの枠が出来たら、底板を固定して引き出し本体は完成です。
引き出し側のスライドレール取り付け
引き出し側のレールを固定していきます。
棚側と同じように、「センター一発」で下穴をあけ、ビスで固定します。
ここでも、平行や取付位置をよく確認して固定します。
棚に引き出しをセット
棚側のレールも引き出し側のレールも固定できたので、あとは差し込むだけです。
左右の棚側レールに引き出し側レールを入れ、押し込みます。
最初は固いので力任せに入れますが、一度入ればスイスイ動くので大丈夫です。
扉の加工から取り付け
次に、モデム・ルーターを収納するスペースの扉を加工。
冒頭にお話した熱対策で、扉に穴をあけていきます。
ボアビットを使って、穴を開けます。
こういった穴をあける時は、反対側の貫通した箇所にバリがでやすいので、前後から穴あけをするとバリが出ません。
穴あけ後は、穴部分をトリマーのボーズ面ビットで面取りして、紙ヤスリで仕上げます。
これで加工は済んだので、蝶番で棚と扉を固定します。
ちなみに蝶番の下穴も「センター一発」が大活躍するので、是非使ってみてください。
完成!無垢の木のおしゃれで奥行のある棚
これで全て完成です。
今回依頼された条件に、「扉と引き出しに取手は付けたくない」ということだったのでちょっと特殊な加工をしましたが、取手をつけるなら簡単に出来ると思います。
まとめ
最後に蜜蝋ワックスで全体を塗って、実家に設置してきました。
(けっこう重量があって、運ぶのが案外一番苦労したかも…)
設置してみたら思った以上にナチュラルな感じで、家の雰囲気と自然にマッチしていて良かったです。
今回のDIYはわりと大きい家具づくりになったので大変でしたが、なかなか楽しく作ることができました。
できあがった後の達成感もすごいので、ぜひチャレンジしてみてください。
それでは皆さま、ご安全に。
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